患者さんとのコミュニケーションの必要性

看護師に求められるものは、患者さんの気持ちを理解し、苦しさを共有することです。全人的医療といって、病気ではなく病気を持った人間としてとらえる視点があります。体が痛いなどの身体的苦痛だけではなく、不調から陥る精神的苦痛、社会的苦痛などが影響しあうことで全人的苦痛を作り出すことから、こうした全人的医療が必要なのです。また、患者さんが治療法を理解したり、治療方針を選択したりする場面でも、コミュニケーションスキルが求められるでしょう。

看護師のコミュニケーションは、日常での楽しい会話とは異なります。コミュニケーション不足によって、治療法などの認識の違いや、インシデントにつながる可能性があるのです。そのような事態を防ぐためには、患者の視点に立って、普段使っている専門用語をかみ砕いて伝えたり、情報伝達を徹底したり、慎重になったりすることが大切です。看護師が普段使っている言葉でも、患者さんには間違って伝わってしまう可能性も考えられます。

治療は、患者さんとの信頼関係を築くことで、同じ目標に向けて進むことが可能です。信頼関係が崩れてしまうと、患者さんが不信感を抱き、心配やストレスを抱くことになります。単に会話が上手というだけではなく、真剣に向き合い、患者さんからのサインを受け取ることが欠かせません。言葉だけでなく、表情や行動など非言語的コミュニケーションで与える印象も変わります。誠実な態度や安心感を与える対応をとり、信頼できそうなイメージにつなげることが患者さんとのコミュニケーションでは大切です。